ベトナムは外国投資を積極的に誘致しており、特定の事業分野や地域に進出する企業に対して、法人所得税(CIT)の優遇措置を設けています。優遇の有無は事業計画の収益性を大きく左右するため、進出の意思決定前に適用可否を見極めることが重要です。本稿では、税制優遇の全体像と実務上の留意点を整理します。
優遇税率と適用分野

ベトナムの法人所得税の標準税率は20%ですが、ハイテク・研究開発・大規模製造・社会インフラなどの奨励分野や、特定の経済区・工業団地に立地する事業には、10%や17%といった優遇税率が一定期間適用されます。優遇の水準と期間は、分野・地域・投資規模の組み合わせで決まります。
免税期間と減税期間
優遇税率に加え、操業から一定年数は法人所得税が免除(免税)され、その後の数年間は税額が半減(減税)される「タックスホリデー」が用意される場合があります。免税の起算点は売上発生年または課税所得発生年が基準となるため、立ち上げ計画と合わせた精緻な試算が欠かせません。
適用を受けるための条件
優遇は自動的に付与されるものではなく、投資登録証明書(IRC)に記載された事業内容や、ハイテク認定などの要件を満たすことが前提になります。事業実態が登録内容から乖離すると優遇を否認されるリスクがあるため、登録段階での設計が肝心です。
実務上の留意点

優遇分野の判定はグレーゾーンが多く、税務当局の解釈や運用が地域によって異なることもあります。事前に当局へのコンファメーションを取得し、根拠書類を整備しておくことで、後日の追徴リスクを抑えられます。移転価格やインボイス管理など、優遇と並行して対応すべき論点も少なくありません。
まとめ
税制優遇は、ベトナム進出の投資回収を早める強力な要素です。一方で適用条件は複雑であり、見込みで事業計画を立てると後で齟齬が生じます。進出形態の検討と並行して、税務の専門家とともに優遇の適用可否を早期に固めることをお勧めします。



